活動紹介
2024 富山・バーゼル交流促進事業
富山県では、今後の県内薬業界をリードするグローバル人材の育成を目的に、医薬品または医薬品関連分野で研究に取り組む富山大学・富山県立大学の学部生(3 年次以上)および大学院生を対象として、スイス・バーゼル大学への短期派遣を実施しました。派遣先では、バーゼル大学薬学部での講義や実習、研究室の見学に加え、バーゼル地域の製薬関連企業の訪問や交流セミナーへの参加を行いました。
派遣期間:2024 年11 月2 日(土)~ 11 月18 日(月)
スイス・バーゼル大学
バーゼル大学は、1460年創立(スイス最古)で医学・薬学・理学など7学部あり、ノーベル賞受賞者を少なくとも5名輩出しています。なお、バーゼル地域には、世界有数の製薬企業(ロッシュ・ノバルティスなど)、医薬品や化学、バイオ関連企業、研究所が集積しています。
同窓会より助成金をお渡しした参加者のレポートを掲載します。
学びと交流が紡いだ実りある留学生活
工学研究科 生物・医薬品工学専攻2年 阪野 奨太
スイス・バーゼルへの留学を通じて、大学での研究活動や授業、企業訪問、異文化交流を経験し、多くの学びと自己成長を実感することができました。留学当初は英語で話すことに緊張し、相手の言葉を聞き取ることや自分の考えを伝えることに不安がありました。しかし、日々の活動を通じて少しずつ慣れ、最後には緊張せずに会話を楽しめるようになりました。この経験を通じて英語学習への意欲が高まり、さらなるスキル向上を目指したいという思いを強くしました。
大学の研究室訪問では、充実した研究設備や効率的な実験環境に感銘を受けました。見学する中で、設備面だけでなく、研究者一人ひとりの高い技術力と探究心にも刺激を受け、自身の研究に対する姿勢を見つめ直す機会となりました。また、研究室メンバーとの昼食を通じて、研究に関する意見交換だけでなく、政治や文化に関する議論が活発に行われている様子を目の当たりにし、異文化におけるコミュニケーションのあり方にも興味を抱きました。企業訪問では、製剤設計や品質管理の最前線に触れることができ、製薬業界において、患者中心のアプローチや品質への徹底したこだわりが製品開発にどのように反映されているのかを具体的に学ぶ機会となりました。また製薬研究の進め方や課題解決の手法についても理解を深め、国際的な視点から製薬業界を見る貴重な経験を得ました。実習では、分子モデリングやドッキング計算を活用した薬物設計について学び、タンパク質とリガンド間の相互作用を評価し、構造最適化を行う一連のプロセスを体系的に経験しました。特に、設計した分子の結合親和性を向上させるための試行錯誤を通じて、実践的なアプローチを学ぶことができました。授業では、炎症のメカニズムやデジタルヘルスケア技術に関する講義を受けました。炎症に関する授業では、免疫細胞が病原体を認識し、体内でどのように働くのかを詳細に学び、炎症が健康維持と疾患発症の双方に深く関わることを再認識しました。また、デジタルヘルスケアの授業では、COVID-19以降急速に発展している分野について学び、特に遠隔医療やデータ解析の重要性を理解することができました。これらの授業を通じて、現代医療における新たな技術や知識を取り入れることの意義を感じました。また、異文化交流を通じて国際的な視野を広げることができました。現地の学生たちとの交流では、スイスの伝統料理を楽しみながら文化や考え方の違いについて話し合い、日本との違いを体感しました。こうした対話を通じて、異なる背景を持つ人々と理解し合うことの難しさと、それを超えた交流の楽しさを改めて実感しました。
今回の留学で得た多くの経験は、今後の研究活動や日常生活において大きな糧となるものです。特に、異なる視点や考え方を取り入れながら自分の研究を発展させるためのヒントを数多く得ることができました。これからも国際的な視野を持ち、挑戦を続けていきたいと思います。





